小さいけど、男だよ?
アスターは、ひよりの通っていた大学に留学していた。

リヒテンシュタインという国をひよりは聞いたことがなく、アスターに興味を持ち話しかけたのだ。そして、リヒテンシュタインについていろいろ教えてもらった。

リヒテンシュタインの首都はファドゥーツ。公用語はドイツ語。軍隊はおらず、二度の世界大戦の戦火を逃れた数少ないヨーロッパの国。永世中立国でもある。

アスターは、最初はたどたどしい日本語だったが、少しずつ話せるようになっていった。ひよりもドイツ語を勉強し、アスターに観光地を案内したりするようになっていく。

そして、お互いに好きになりそれぞれの母国語で言ったのだ。

「愛しています」

「Ich liehe dich(愛しています)」

二人はたくさん日本で思い出を作ったが、アスターがリヒテンシュタインに帰国することになり、遠距離恋愛となってしまった。

その間も、「De fehlst mir(君が恋しい)」や「Ich denke immer an dich(あなたのことをずっと考えているよ)」という言葉をメールや電話で送り合った。
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