小さいけど、男だよ？

「午後はファドゥーツ大聖堂とファドゥーツ城に行ってみない？まあ、大聖堂って言っても小さな教会なんだけど……。でも、すごく綺麗なステンドグラスがあるんだよ！」

料理を待っている間、ひよりとアスターは午後から行く観光地の話で盛り上がる。

「写真で見たことがあるけど、リヒテンシュタインってとても素敵な観光地が多いんだね！午後からの観光も楽しみ！」

「きっとひよりは気にいると思うよ。古城を見たり、今の時期だとハイキングも楽しいね」

「わあ、楽しそう！綺麗な景色が見えるんだろうな〜」

楽しく話していた二人だったが、不意に「よう！」と声をかけられる。二人が横を見れば、背の高い男性が二人いた。どちらもニタニタ笑っている。

「知り合い？」

ひよりはアスターに訊ねるが、アスターは首を横に振る。一体誰だろう、とひよりが思っていると男性たちはひよりに話しかけた。

「姉ちゃん、こいつはあんたの彼氏か？」

「え、はい。そうですけど……」

「こんな小せえガキみたいなやつ、君には似合わないと思うんだけどな〜」

そう言いながら、男性たちはひよりの腕を掴む。