絶対離さないから。
「あ、あまねは……ひらがなです……」


一ノ瀬くんはあまねちゃんに質問してスッキリしたのか、あまねちゃんをわたしからとりあげようとする。


ぐっと力をいれて渡すまいとすると、そんなことはどうでもよかったのか、あまねちゃんのほうに手を伸ばす。


あまねちゃんはなぜか目をぎゅっとつぶっていて一ノ瀬くんを見ようとはしなかった。


あまねちゃん、そのままでいいと思うよ!


あまねちゃんの純粋な瞳にこんな汚いやつを映しちゃダメなんだからね!


でも、その判断が間違っていたことに、わたしは後から後悔した。
< 69 / 95 >

この作品をシェア

pagetop