溺愛アフロディーテ 地中海の風に抱かれて
どんどん声が大きくなっていく。
「僕は君を愛している。何度でも言うよ、美咲。ティ・アーモ。結婚しよう」
それができないからこんなことになったんじゃないのよ。
だから私は楽園にいられなくなってしまったのに……。
そんなに愛を叫ばないで。
「お願いだから黙って」
うつむいた私をそっと抱き寄せながら彼が耳元でささやいた。
「どうしてだい。僕はこの子の父親だろう? あの日僕らが愛し合ったその証。その愛の結晶だろう?」
「いいから黙って」
私はミケーレの手を取ってお腹に当てた。
「ほら……ね。分かる?」
お腹の子供がしきりに蹴飛ばしている。
「パパ、うるさいって」
お腹の中で新しい命が動いている。
私たちの子供だ。
ミケーレは愛おしそうに私のお腹に手を当てていた。
彼のお腹がきゅるると鳴る。
「ねえ、美咲」
「何?」
「十年ぶりにあのイタリアンファミレスで極上のティラミスが食べたいな」
私は首を振った。
「あのチェーン店は秋田県にはないって知ってた?」
「なんだって!?」
こんな絶望的な彼の表情は見たことがなかった。
それに比べたら、私たちの問題なんて全然たいしたことないのかもしれないと思った。
「僕は君を愛している。何度でも言うよ、美咲。ティ・アーモ。結婚しよう」
それができないからこんなことになったんじゃないのよ。
だから私は楽園にいられなくなってしまったのに……。
そんなに愛を叫ばないで。
「お願いだから黙って」
うつむいた私をそっと抱き寄せながら彼が耳元でささやいた。
「どうしてだい。僕はこの子の父親だろう? あの日僕らが愛し合ったその証。その愛の結晶だろう?」
「いいから黙って」
私はミケーレの手を取ってお腹に当てた。
「ほら……ね。分かる?」
お腹の子供がしきりに蹴飛ばしている。
「パパ、うるさいって」
お腹の中で新しい命が動いている。
私たちの子供だ。
ミケーレは愛おしそうに私のお腹に手を当てていた。
彼のお腹がきゅるると鳴る。
「ねえ、美咲」
「何?」
「十年ぶりにあのイタリアンファミレスで極上のティラミスが食べたいな」
私は首を振った。
「あのチェーン店は秋田県にはないって知ってた?」
「なんだって!?」
こんな絶望的な彼の表情は見たことがなかった。
それに比べたら、私たちの問題なんて全然たいしたことないのかもしれないと思った。