溺愛アフロディーテ 地中海の風に抱かれて
 やっぱり彼が好きだった。

 やっぱりミケーレを愛していた。

 やっぱり私は彼と一緒にいたかった。

 やっぱり離れたくない。

 彼を恨んでなどいないし、彼と会わせてくれた運命を憎んでなどいなかった。

 彼が私に見せた優しさも、彼が私に与えてくれた愛も、どちらもかけがえのない私の宝物なのだ。

 彼に会いたい。

 引き裂かれたままこのまま二度と会えないなんて、そんなことは耐えられない。

 でも……。

 私にできることは何一つない。

 やっぱり、いつもの私なんだ。

『何もできない美咲』

 そう、私はそんなつまらない人間なのだ。

 どうせ頑張ったってなんにもできないんだ。

『素直にあきらめなよ』と心の中の遥香が私の頭を撫でている。

 そうだよね。

 また、言うことを聞かないで失敗ちゃった。

 ごめんなさい。

 私が悪かったんだよね。

 間違っていたのは私です。

 そんなに責めないでよ。

 ゆるしてよ……。

 泣き疲れたのか意識がもうろうとしてきた。

 私はだらしなくソファに寝そべったまま眠ってしまっていた。

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