溺愛アフロディーテ 地中海の風に抱かれて
私は服を脱ぎ捨ててお風呂に入った。
足を伸ばせる浴槽で、日本と同じように肩までつかれる深さだった。
なんだか久しぶりだ。
体が温まるだけでも、心が軽くなる。
『つきあってくれ……』
車の中で言われた言葉が不意に思い浮かんでくる。
まるで男子高校生みたいな勢いだった。
私は中高生の頃に男子とつきあったことがなかった。
地味でおとなしい女子だったから、男子と話すことすら無縁だった。
サッカー部のキャプテンがもてていたけど、私は最初から自分は対象外だとあきらめていた。
実際、何人か交替したその彼の恋人はみんなかわいい女子だった。
あの頃の私に教えてあげたい。
『日本の至宝』と呼ばれるスーパースターに『つきあってくれ』なんて言われることになるんだよって。
きっと笑われるだろうな。
『私って、そんな妄想こじらせ女子になるんですか!?』
私は思わず声に出して笑っていた。
そんな自分の恥ずかしさに、また笑ってしまった。
昔の私が小声でささやく。
夢かもよ。
ただの冗談だって笑われるかもよ。
本気にしたのかよって馬鹿にされるかも。
……いいじゃない。
こじらせ女子なんだから。
べつにうれしくなんかない。
もてあそばれて落ち込んでいる女に声をかける男なんて、どうせろくな人じゃない。
いくら私でも、それくらいのことは分かる。
ヘリコプターで移動したり、世界の違いすぎるパーティーに出席したり、そして愛する人と別れた後の気持ち悪いオジサンとのやりとり。
一日のうちにいろいろなことがありすぎた。
頭が追いつかないのか、ベッドに横になったとたん意識が消し飛ぶように眠ってしまった。
足を伸ばせる浴槽で、日本と同じように肩までつかれる深さだった。
なんだか久しぶりだ。
体が温まるだけでも、心が軽くなる。
『つきあってくれ……』
車の中で言われた言葉が不意に思い浮かんでくる。
まるで男子高校生みたいな勢いだった。
私は中高生の頃に男子とつきあったことがなかった。
地味でおとなしい女子だったから、男子と話すことすら無縁だった。
サッカー部のキャプテンがもてていたけど、私は最初から自分は対象外だとあきらめていた。
実際、何人か交替したその彼の恋人はみんなかわいい女子だった。
あの頃の私に教えてあげたい。
『日本の至宝』と呼ばれるスーパースターに『つきあってくれ』なんて言われることになるんだよって。
きっと笑われるだろうな。
『私って、そんな妄想こじらせ女子になるんですか!?』
私は思わず声に出して笑っていた。
そんな自分の恥ずかしさに、また笑ってしまった。
昔の私が小声でささやく。
夢かもよ。
ただの冗談だって笑われるかもよ。
本気にしたのかよって馬鹿にされるかも。
……いいじゃない。
こじらせ女子なんだから。
べつにうれしくなんかない。
もてあそばれて落ち込んでいる女に声をかける男なんて、どうせろくな人じゃない。
いくら私でも、それくらいのことは分かる。
ヘリコプターで移動したり、世界の違いすぎるパーティーに出席したり、そして愛する人と別れた後の気持ち悪いオジサンとのやりとり。
一日のうちにいろいろなことがありすぎた。
頭が追いつかないのか、ベッドに横になったとたん意識が消し飛ぶように眠ってしまった。