溺愛アフロディーテ 地中海の風に抱かれて
翌朝、朝食が部屋に運ばれてきた。
「テラスにご用意しますので、お好きな物をお召し上がり下さい」
メイドさんとウエイターさんがテーブルをセッティングしている間、私はバスローブのまま顔を洗ったりしていた。
インターホンが鳴る。
「お召し物をお持ちしました」
別のメイドさんがドレスを持ってきてくれた。
下着や靴もある。
着替えてみるとサイズはぴったりだ。
自分のことを全て把握されているのかと思うと気分が悪い。
代わりに昨日の服をクリーニングに持ち出していく。
至れり尽くせりなのはありがたいけど、これはつまり、この服を着て今夜の開幕戦を見に来いということなのだろうか。
ウエイターさんたちが出ていったので、ため息をおさえながらテラスへ出ると、朝食が並んでいた。
でも、メニューがなんか変だ。
パンにスクランブルエッグは分かる。
でも、ステーキとサラダに山盛りの果物?
ペペロンチーノのようなシンプルなパスタもある。
これ、朝から食べるものなのかな?
なぜか椅子も二つ並んでいた。
もう一度インターホンが鳴る。
「おはよう。朝食を一緒にお願いしようと思ってね。頼んでおいたよ」
インターホンのモニター画面には大里選手が映っていた。
椅子が二つというのはこういうことだったのか。
「お断りします。一人で過ごしたいので」
「でも、俺の朝食もそっちにあるだろ」
「ホテルの人を呼びますから、持っていってもらって下さい」
画面の向こうで彼が苦笑している。
「金持ちに引け目を感じているくせに、俺にはズバズバ言うね」
「サッカー選手としては有名なんでしょうけど、サッカーに興味はないので私にとってはただの気持ちの悪いオジサンです」
「朝から元気なようで良かったじゃないか」
画面の中で横からメイドさんが顔を出す。
「コーヒーをお持ちしました」
ドアを開けると大里選手も入ってきた。
「叫びますよ」
「訴えれば? ふんだくれるぞ。ゴシップ誌も喜ぶだろうな。『日本の至宝オオサトがストーカー容疑』ってね」
「どうせ悪徳弁護士と組んで揉み消すんでしょう?」
「それもふくめてご相談させていただきたいものだね。なるべく示談で済ませたい。これでも紳士だからね。いいだろ、食べながらで」
大里選手は勝手にテーブルについてナプキンを広げている。
私が立ったままのせいで、両手にポットを持ったメイドさんが当惑顔で控えている。
あきらめて私も席に着くとカップにコーヒーとミルクを注いでくれた。
大里選手には炭酸水のボトルが用意されていた。
「では、ごゆっくり」
ポットを置いてメイドさんが出ていく。
「テラスにご用意しますので、お好きな物をお召し上がり下さい」
メイドさんとウエイターさんがテーブルをセッティングしている間、私はバスローブのまま顔を洗ったりしていた。
インターホンが鳴る。
「お召し物をお持ちしました」
別のメイドさんがドレスを持ってきてくれた。
下着や靴もある。
着替えてみるとサイズはぴったりだ。
自分のことを全て把握されているのかと思うと気分が悪い。
代わりに昨日の服をクリーニングに持ち出していく。
至れり尽くせりなのはありがたいけど、これはつまり、この服を着て今夜の開幕戦を見に来いということなのだろうか。
ウエイターさんたちが出ていったので、ため息をおさえながらテラスへ出ると、朝食が並んでいた。
でも、メニューがなんか変だ。
パンにスクランブルエッグは分かる。
でも、ステーキとサラダに山盛りの果物?
ペペロンチーノのようなシンプルなパスタもある。
これ、朝から食べるものなのかな?
なぜか椅子も二つ並んでいた。
もう一度インターホンが鳴る。
「おはよう。朝食を一緒にお願いしようと思ってね。頼んでおいたよ」
インターホンのモニター画面には大里選手が映っていた。
椅子が二つというのはこういうことだったのか。
「お断りします。一人で過ごしたいので」
「でも、俺の朝食もそっちにあるだろ」
「ホテルの人を呼びますから、持っていってもらって下さい」
画面の向こうで彼が苦笑している。
「金持ちに引け目を感じているくせに、俺にはズバズバ言うね」
「サッカー選手としては有名なんでしょうけど、サッカーに興味はないので私にとってはただの気持ちの悪いオジサンです」
「朝から元気なようで良かったじゃないか」
画面の中で横からメイドさんが顔を出す。
「コーヒーをお持ちしました」
ドアを開けると大里選手も入ってきた。
「叫びますよ」
「訴えれば? ふんだくれるぞ。ゴシップ誌も喜ぶだろうな。『日本の至宝オオサトがストーカー容疑』ってね」
「どうせ悪徳弁護士と組んで揉み消すんでしょう?」
「それもふくめてご相談させていただきたいものだね。なるべく示談で済ませたい。これでも紳士だからね。いいだろ、食べながらで」
大里選手は勝手にテーブルについてナプキンを広げている。
私が立ったままのせいで、両手にポットを持ったメイドさんが当惑顔で控えている。
あきらめて私も席に着くとカップにコーヒーとミルクを注いでくれた。
大里選手には炭酸水のボトルが用意されていた。
「では、ごゆっくり」
ポットを置いてメイドさんが出ていく。