人見知りな君と、ボーイッシュな私

「彼の返事から予想すると、フェリクスは絶対にいつきをパーティーに誘うわね！」

エヴァはニヤニヤしながら言う。いつきは大きなため息をついた。

仲のいい男子たちはみんな他の女の子を誘っている。いつきのことなど、サッカーを一緒にする男みたいなやつとしか見ていないからだ。

「ねえ、あんたたち誰か誘ったの？」

いつきが訊ねると、「フェリクスに誘われてないのかよ〜」とニヤニヤしながら返ってきた。いつきは苛立ち男子を思い切り殴る。

男子たちはどうやらフェリクスにも「誘わないのかよ〜」と言っているらしい。いつきは「そういうのやめろ！」と男子たちを怒鳴りつけ、教室から飛び出す。

廊下を走り、いつきは校舎裏へと向かう。校舎裏には誰もいないことを知っている。体調が悪い時にはいつきはここに足を運び、涼しい風に当たったりするのだ。

校舎裏にはやはりいつきしかいなかった。いつきは腰を落とし、目の前に生えている名前のわからない花を見つめる。