人見知りな君と、ボーイッシュな私
しばらく風に当たっていると、いつきの心は少しずつ落ち着いてきた。グラグラと煮え立っていた男子に対する怒りも静まっていった。

「馬鹿みたいだ。男なんて馬鹿な生き物なのに……」

日本にいた頃、クラスメートの一人に男子に色目を使う女子がいた。ぶりっ子と言われるものだ。いつきはぶりっ子は嫌いだったし、他の女子だって「あいつウザいよね」と陰で言っていた。しかし、男子たちの中でそのぶりっ子は「可愛い女子」となっていたのだ。

その出来事があるため、いつきは男子を好きになったことがないのかもしれない。いつきはため息をついた。

「あ、やっぱりここにいた」

声をかけられ、いつきはゆっくりと横を見る。フェリクスがニコリと微笑み、「隣座っていい?」と訊ねる。いつきは「いいよ」と頷いた。

「何で、あたしがここにいるってわかったんだ?」

「いつき、前に教えてくれたよ。落ち着きたい時にここに来るって」

それは、フェリクスと仲良くなり始めた頃に話したことだった。そんなことまで覚えてるのか、といつきは驚く。
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