人見知りな君と、ボーイッシュな私
「あのさ、色々噂とか流れてるし、どうしていいかわからないんだけど……」

フェリクスはいつきの手にそっと自分の手を重ねる。その手の硬さに、いつきはフェリクスが男なのだとわかった。

「俺とダンスパーティーに行ってくれませんか?」

真剣な目で見つめられ、いつきは「ハハッ」と苦笑する。心の中では嬉しさであふれている。しかし、その顔をフェリクスからそらす。

「あんた変わってるよ!こんな女に「愛してる」って言ってダンスパーティーにまで誘うなんて……。可愛い子なんていっぱいいるじゃない!ハンナとかユリアとかさ〜……」

しかし、フェリクスは「いつきがいいんだ!」と優しく言う。いつきはこんなに「好き」と言われたことがなく、嬉しさから泣き出しそうになりながら言った。

「ちゃんとエスコートしてよ?」

「Oczywiscie!(もちろん!)」

ダンスパーティーの日は、ゆっくりと近づいてくる。二人は早速ダンスの練習をすることになった。
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