人見知りな君と、ボーイッシュな私
いつきはそんなことに慣れていないため、恥ずかしいという気持ちしかない。ただの女の子扱いだけならまだしも、褒められるとなると話は別だ。

「えっ、褒められて嬉しくないの?」

「そりゃあ他の女の子だったら喜ぶでしょうよ!!でもあたしは褒められ慣れてないっていうか……」

いつきがそうフェリクスから顔をそらしながら言うと、「じゃあこれからどんどん慣れていけばいいね」とフェリクスは笑う。

「は、はあ!?」

「じゃあ練習しよっか」

フェリクスはニコニコしながらいつきに近づく。そうか、ダンスだから引っ付かないといけないのか、といつきの恥ずかしさは倍増した。

フェリクスの腕がいつきの腰に巻き付けられる。手を取られ、体が密着している。このような状態でドキドキしない人はいないだろう。

「あ、あたしダンスなんて踊れないからね!?」

ダンスパーティーの説明があった時に先生がダンスの映像を見せてくれたのだが、見ただけでは覚えられない。ステップもわからず、いつきはフェリクスを見上げた。
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