人見知りな君と、ボーイッシュな私
「大丈夫だよ。僕がちゃんとリードする。この時のために一人で練習してたから」

「はあ!?そんなことしてたの!?」

ポカンと口を開けるいつきに、「始めよっか」と微笑みゆっくりと踊り始めた。

しっかりとフェリクスがリードし、ステップを数えてくれるためいつきは少しずつ踊れるようになっていく。しかし、密着していることには慣れない。

「いつき、もう少し肩の力を抜いて。緊張しなくていいよ?」

「だ、だって……」

運動をしているイメージがないのに、フェリクスの体には付くところに筋肉がしっかり付いていた。それに今気付き、恥ずかしさがますます大きくなる。

いつきは決してスタイルが特別いいわけではない。胸もそれほどあるわけではないし、臀部もどちらかといえば控えめだ。

そんな貧相な自分の体が恥ずかしくなってしまったのだ。そんなことを考えているとはフェリクスは気付かないだろう。練習を続ける。

くるりと何度も回り、二人は踊り続ける。二人きりのダンスパーティーだ。
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