人見知りな君と、ボーイッシュな私
「フェリクス!あんたもサッカーしない?」

いつきが声をかけたのは、中性的な顔立ちをした茶色の髪に緑の目をしていて、メガネをかけている。深い緑のネクタイに薄い緑のベスト、黒いズボンを履いた男子だ。

「え、あ……僕は運動苦手だし……」

申し訳なさそうにフェリクスは何度も「Przepraszam(ごめん)」と謝る。いつきは「気にすんな!」とフェリクスの肩をポンと叩き、男子たちとともに運動場へと向かう。

フェリクス・ロリナイティスは、いつきと隣の席のためいつきが話しかけて仲良くなった男子だ。人見知りで、女の子に間違えられることもある。そんなフェリクスは、いつきの中で「不思議な人」だった。

クラスメートたちは、いつきのことを男扱いする。それにいつきは慣れていたし、男扱いされることが当たり前だった。

しかし、フェリクスだけがいつきを女の子扱いする。重いものをいつきが持っていると必ず助けてくれる。生理痛でいつきが苦しんでいると、「Wazystko w porzadku?(大丈夫?)」と声をかけてくれた。
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