人見知りな君と、ボーイッシュな私
フェリクスにそんな風に接されるたびに、いつきは不思議な感覚を覚えるのだ。自分も女の子だという感覚を……。

男子に混じり、いつきはボールを蹴り続ける。いつきのチームは今のところリードしている。

「マコヴィエツ、奢ってもらうよ!!」

あの味を思い出し、いつきは舌なめずりをしてゴールへと走っていく。自分のふた回りほど大きな男子たちが相手でも怯むことは決してない。

「お前が俺らに奢るんだよ!!」

バッといつきの前に大きな男子が立ちはばかる。その刹那、いつきはぐらりと地面に倒れる。体を止めることができず、男子とぶつかって転んでしまったのだ。

「いったぁ……」

いつきの足には大きなすり傷ができ、血がジワリと滲んでいる。

「悪りぃ!立てるか?」

ぶつかった男子がいつきに手を差し伸べる。いつきは「Dziekuje(ありがとう)」と言い、ゆっくりと立ち上がる。ズキズキと傷は痛み、サッカーどころではない。

「ちょっと保健室行ってくる……」
< 4 / 17 >

この作品をシェア

pagetop