人見知りな君と、ボーイッシュな私
運動が好きないつきにとって、こんな怪我は日常茶飯事だ。体にはすでに傷痕もいくつかある。それでも、フェリクスは一生懸命手当てをしてくれる。その指先がくすぐったい。

「女の子らしくしなさい!」

いつきはそう言われることが多く、その言葉が嫌いだった。しかし、フェリクスにさりげなく女の子扱いされることはちっとも嫌ではない。恥ずかしいと思うだけで、嫌だと思ったことは一度もない。

「できた。これで大丈夫なはず」

いつきの足には清潔なガーゼが当てられている。もう痛くない。

「Dziekuje!(ありがとう!)」

そう言いいつきが笑うと、フェリクスの頰が赤く染まる。その刹那、いつきの手の上にフェリクスの手がふわりと重ねられた。

「Kocham Cie(愛してる)」

頰を赤らめたフェリクスの口から告げられた言葉に、いつきは一瞬時が止まった。

「……えっ……」

驚き固まるいつきに、フェリクスは続ける。

「僕は、ずっとずっとあなたのことが好きでした。僕と付き合ってください!」
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