人見知りな君と、ボーイッシュな私
いつきは、生まれて初めての告白に一瞬胸が高鳴る。こんな風に胸を高鳴らせたのは初めてだ。

フェリクスとは、共通の趣味のギターをお互いに弾き語りをしたりする。音楽の話でよく盛り上がった。しかし、ただの友達だ。

「Przepraszam(ごめん)Jestes moim przyiacielem(あんたはあたしの友達だ)」

「恋愛対象じゃないってこと?」

傷ついたような目を向けるフェリクスからいつきは目をそらす。いつきの言葉一つでフェリクスは傷つくのだ。

「そもそも、あたしは誰かを好きになったことなんてないよ。こんな性格だし……」

「こんな可愛い女の子なのに?」

驚きながら言うフェリクスに、いつきは「Przestan(やめろよ)」と苦笑する。

「あたしは、可愛い女の子よりも勇ましい人に憧れるんだ。ドラゴンの伝説みたいにさ」

ポーランドの都市の一つのクラクフでは、ドラゴンの伝説がある。それは、クラクフの城の地下にある大洞窟にドラゴンがいて、暴れ回るために王子が退治をしに行ったというものだ。そのあと王子は機転を利かせてドラゴンを倒した。
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