人見知りな君と、ボーイッシュな私
そのドラゴン伝説は街の人に愛されていて、ドラゴングッズが売られていたり、火を吐くパフォーマンスがあったりするそうだ。

「あたしは、その伝説の王子みたいに勇ましくなりたい。女らしくとか柄にないよ」

いつきはそう言って笑うが、フェリクスは首を横に振り続ける。

「俺、絶対に諦めないから!!」

そう言い、フェリクスは保健室を出て行った。



いつきがフェリクスから告白されて早数日。フェリクスは前よりいつきに話しかけてくることが多くなった。

人見知りをしていた頃は、フェリクスはいつきが話しかけるたびに「えっと!」と声が上ずっていた。あの頃が懐かしくなるほど、フェリクスはいつきに話しかけてくる。

「あたしより可愛い子なんて山ほどいると思うけど……」

いつきが友達のエヴァにフェリクスのことを言うと、「フェリクスが好きになった理由はわからないけど、本気でフェリクスは恋してるんだよ」とエヴァは言った。
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