人見知りな君と、ボーイッシュな私
「恋なんてしたことないからよくわかんない……」

いつきがそう言うと、「多分きっとこれからだよ!」とエヴァは笑う。エヴァ曰く、人は恋に落ちるとそれが恋だとわかるそうだ。

「それより!あなた、誰かに誘われたの?」

「へっ?」

「ダンスパーティーよ!ドレスも用意しなくちゃいけないし!!」

「あぁ〜……。本当に嫌だ!死にそうなほど嫌だ〜!!」

いつきの通う学校では、秋になるとダンスパーティーが開かれる。社会のマナーなどを学ぶためだ。

生徒は全員出席しなければならない。ドレスを着てただ壁際にいるだけならまだいつきは我慢はできる。しかし、このパーティーでは生徒たちは男女でペアを組んで踊らなければならないのだ。

「あたし、ダンスなんてしたことない……」

「だからペアの人と練習するのよ!」

「こんな男みたいな女と誰が踊りたいと思う?」

「フェリクスがいるじゃない」

「彼があたしに告白したって噂になってるのに?あたし、フェリクスのこと振ったんだよ」
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