スタンドバイミー
「お前は誰だ。」
鋭い声にビクリ、と反応して、雅は慌てて答える。
「私は、黒羽雅と言います。」
怯えてはいけないと思い、内心焦りながらも毅然とした態度で男を見ると、少し目を見開かれた。
「俺に睨まれても動じないところは、少し評価しても良い点だな。何の用だ。」
「私を、生徒会に入れてください。」
沈黙が流れた。
数秒後、生徒会長らしいその男は、
「、、、やはりな。」
諦めたようにそう呟いて、
「さっさと出ていけ。お前は生徒会には入れない。」
雅を突き放した。
隣では、副会長が口の端を吊り上げていた。
「お願いです。何でもやりますから!」
懇願するが結果は虚しく、「駄目だ」の一点張り。
しかも声に若干の苛立ちも入っている。
「お前みたいな信用の薄いやつ、生徒会に入れられない。何か生徒会にメリットが有るのか??」
答えられるようなものは、雅にはなかった。
肩を落とす雅に、今まで黙っていた副会長が優しく退出を促す。
「教室まで送りますよ。」
そういって優しげな笑みを向けるが、雅は先ほどの様に動悸はしなかった。