ひかり
ズラっと並んだ生徒達。
私たちが最後のようだった。
由緒正しい名門校。
緊張感のけたが違う。
全校生徒、600人。
各学年200人ずつという、それほど多い人数ではないのに、将来が約束されたエリート揃い。
舞台の脇にズラっと並ぶ先生方。
そして、舞台袖には生徒会役員が控えている。
聖蘭学園生徒会役員になると、世界でも有名な桐皇大學に入学できるということもあり、壮絶なバトルが繰り広げられるらしい。
会長1名、副会長2名、会計1名、書記1名。
たった5人の狭き門。
特に今年の生徒会はすごいらしい。
先日、各国の首脳が集まる晩餐会で各国全ての言語を使いこなし、華麗なスピーチをしたと、新聞にも載ったんだよ!!と、さっき花京も興奮した様子でいってきたくらいだから、よっぽどだろう。
って、そんなこと考えてる場合じゃない。
なんとまさかの、私、首席合格者ということで、今からスピーチしなきゃなんだった…。
………
1年代表 如月美桜
…ふぅー。練習したかいがあったわ。
軽い足取りで舞台から下りる。
「うわぁっ」
私の体が宙に浮く。
衝撃に備える…
ふわっと温かいものに包まれる。
次の瞬間…
「きゃーーー!!」
「学校の、イケメンがっ…大集結…尊いっっ!」
「「会長の、蓮翔さまっ!!」」
「「副会長の、大雅さまっ!!」」
「「飛羽磨さまっ!!」」
「「会計の昇矢さまっ!!」」
「「そして入学生にして、先生推薦で書記の座に着いた謎のイケメンくんっっ!!」」
全校生徒の視線が集まる。
「美桜大丈夫か?」
後ろからがっちりホールドするお兄ちゃん。
右に大雅。左に飛羽磨。前に昇矢。
そして、下に謎のイケメンくん。
下。.........した?
「ごっ、ごめんなさいっ!」
「俺は全然大丈夫だけど...美桜さんは?」
「ぜんっぜん、大丈夫です。すみませんっ!私のせいで」
5人に囲まれながら立ちあがったものの、座り込んでしまった私。だって、みんなからの圧が怖いんだもん。
「美桜、お前ほんと昔からそそっかしいよな、気をつけろよ。」
「ごめんなさい」
「まあまあ、そんな怒らないの。でも、俺達が間に合わなかったら大変だったぞ。今度から気をつけること。」
「はい、すみません」
「びびったぁ、まじ冷や汗。ほんと、馬鹿だよな」
「…ごめん」
「…無事ならいい」
「ありがと」
昇矢と、大雅が庇ってくれなかったら、もっと怒られてたかもしれないと思うと、ゾッとする。
「颯、ありがとな」
「いえいえ、大丈夫です」
お兄ちゃんに、お礼を言われ穏やかに微笑む颯くん。
「あっ、あの、颯くん…?本当にごめんなさい。怪我とか、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。俺一応男だよ?」
落ち着く声。
うん。色気?凄いんだが、颯くん。
真島 颯くん。サラサラの金髪に、甘いマスク。
こりゃあ、モテるぞ。
「「「颯様っ」」」
ほーら。
手を差し伸べてくれる。
ぐいっと、引っ張り上げられて、勢い余って颯くんの胸にダイブ。
「ごっごめんなさ…」
いい匂い。落ち着く匂い。嗅ぎ覚えのある匂い。
私の頭上にある彼の顔。綺麗な瞳。だけど、なんだか切なくて、私と同じ匂いがした。
瞳の奥に人知れず闇を抱えているだろうこの少年。なぜだか心臓がどきどきした。
その闇を晴らしてあげたいと思った。