ひかり
あの日、私もおうちにいればよかった。
そうしたら、ままとぱぱとお兄ちゃんと、みんなで一緒にいれたかな?
…会いたいよ。
1年間私は親戚の家をたらい回しにされた。そして昨日私は、桜坂園?というところに来た。
私よりちっちゃい子も、おっきい子も沢山いて、みんなで一緒に住むんだって。
1人の男の子と同じ部屋になった。
私と同い年位の男の子。
私は無視してるのに、ずっと話しかけてくれる子。まーくんっていうらしい。
早く、家族に会いたい。
なんて思いながら、ベットの上でぼーっとしていたらいつの間にか朝。目覚まし時計の音と同時に二段ベットの上から顔をひょいとのぞかせた男の子。
「……っ!いっ!……おいっっ!!市岡美桜っっ、!」
「はいっっ!!!」
思わず返事をしてしまった。
「なぁんだ、喋れんじゃん。そ、れ、よ、り、!このままだと遅刻だぞっ!!」
男の子が私の手を引っ張って階段をかけ下りる。
「あっ!まーくん!おはよ!」
「あの子昨日来た子じゃない?」
「まーくんと相部屋?ずっるーい!!」
下のリビング?のような所へ降りると、たくさんの人がいた。みんな朝ごはんを食べているみたい。
「まーくん、美桜ちゃんおはよう!」
昨日優しく話しかけてくれたおばさんが声をかけてきた。
「葛岡さんおはよ。」
男の子が笑顔で挨拶する。
『もう!年上の人には敬語使わないとダメでしょ!!』
お母さんの声が聞こえたような気がした。
お兄ちゃんが不貞腐れたような顔をする。
お父さんがまぁまぁ、となだめて。
私がゲラゲラ笑って。
ギュ
ふわっと暖かいものに包まれた。
柔軟剤の香りが心地よくて。
顔を上げると、まーくんだった。
「お前、泣いてる。俺が泣いた時、いっつも母ちゃんがこうやって、ぎゅってしてくれたんだ。だから。」
「うわぁぁぁぁままぁぁあ!ぱぱぁぁあ!!おにいちゃぁぁあん!!」
「行こ?」
今度は手を繋がれて、階段を上って、さっきまで寝ていた部屋に戻る。
私が寝ていたベットにわたしを座らせて、まーくんも隣に座る。
そして、語りだした。
まーくんの過去を。