ひかり
「俺は、父ちゃんと、母ちゃんと、妹の4人家族だったんだ。
毎日楽しかった。
いつも通り、妹と、母ちゃんと買い物をして、帰って来て、おやつ食べて、外がうっすら暗くなったとき、警察が来たんだ。
それで、言ったんだ。
お父さんが逮捕されたって。
なんでかは、その時の俺には分からなくて、それからもずっと母ちゃんは教えてくれなかった。
何度聞いても、「大丈夫だから」って。
一週間後…今でも俺はずっと後悔してる。
俺は、幼稚園の年長だったから、お泊まり会があって、1泊2日、園でみんなで騒いでやっと、俺達が寝静まった時頃、先生に叩き起されて、言われたんだ。
「お母さんと、妹に会いに行こう」って。
いまいち意味は分からなかったけど、もう、お帰りの時間なのかなって、先生に従って、ついて行った。
着いたのは、病院だった。
薄暗い部屋に連れていかれて、白いシーツの前まで連れてこられて。黒い服きた男の人がシーツをめくると、そこには青白い顔をした母ちゃんと未央がいて。
意味がわからなくて、先生を見上げると、先生泣いてて。
「まーくんのお母さんと妹の未央ちゃんはお空へ行っちゃったのよ」って。
幼稚園で、読んでもらった絵本に、お空へ行っちゃった犬のお話があって。その犬の飼い主と同じように、自分も会えなくなっちゃうんだ。って。
泣いた。
母ちゃんと未央にしがみついて。
ずーっと、ずっと泣いた。
お葬式が終わった日、俺はこの園に来た。
そして誓ったんだ。
もう、泣かないって。
俺が泣くと、母ちゃんはいつも抱きしめてくれた。それでそのあと、言うんだ。
『男の子は泣いちゃダメ。いつも、笑って誰かを元気つけてあげられる子になりなさい』って。
それから1年ここで暮らしてるってわけ。」