ひかり

次の日から
まーくんと私はいつも一緒だった。
私にはもはや、まーくんしかいなかった。
園でも、小学校でも。
まーくんはかっこよくて、誰にでも優しくて。

モテモテだった。
でも、弱い姿を見せるのは私の前だけなんだって思うと、嬉しかった。

まーくんと一緒ならどこでも大丈夫な気がした。
私たち2人は、絆で結ばれていた。

だけど、お別れはあまりにも残酷で、突然だった。


私が園に来て半年。
まーくんが園に来て1年半。

私たちに新しい家族ができた。


嫌だと思った。
でも、どうすることも出来なかった。

まーくんと、私は離れ離れになった。


新しい家族の元に行く、前の日の夜。

私たちは約束をした。2人だけの約束。

【どんなに嫌なことがあっても、負けない。】

【どこにいても、一緒。】

【絶対に、またいつか会う。】

2人で紙に書いて、小学校で使っていた名札の裏に入れた。

次の日の朝それぞれの里親が迎えに来た。
私は、東京へ、まーくんは北海道へ。

「昨日の約束、絶対だからな」

「まーくん、私たち、兄妹だからね。短い間だったけど、‘未央’ちゃんに、なれたかな?同じ名前だから、優しくしてくれたんでしょ?」

「バレてたか。でも、お前はもう未央じゃない。もう1人の俺の妹の‘美桜’だから。」

「ありがとう。ばいばい、」

「ばいばい。」

…ばいばい、まーくん。
……私のもう1人のお兄ちゃん。
そして、初恋の人。
毎晩うなされる私に、寄り添ってくれた、唯一の人。

…そして、私の地獄の日々が始まった。

幸せに、やっと、幸せになれるって思ってたのに。




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