ひまわり。夏。花火。
「では、教科書の87ページから…」

「ふぁぁ」

「はい、森岡」

うわ、バレてたっ。

「ひまわり今のバレてんじゃんっっ」

しおが後ろを振り向いて言う。

バレたんなら仕方ないか…

「春は曙。やうやう白くなりゆく山際、すこしあかりて、紫だちたる雲の細くた…」

「はい、ありがとう。まず、やうやうの部分で母音はあうあうとなるので読み方は…」

はいクリア。

最初ちゃんとページ開いてて良かったぁ…

「今日はちゃんと教科書開いてたんだっ」

「まじでラッキー」

そう言ってくすくす笑ってると

先生と目が合った。

ちょっと険しめな目をして

軽く睨まれた。

(喋ってんのバレてんぞ)

そう言われてるようで

私たちはその後静かに授業を受けた。
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