ひまわり。夏。花火。
音楽室の窓を少しだけ空けて

空気を入れ替える。

そして、準備室の手前の棚を空けて

譜面を取った。

モーツァルト

軽やかで美しく繊細な作品。

私にはまだ弾きこなせないけど

大好きな曲。

「森岡さん?」

「先生!」

「前より随分良くなってるわよ。」

「ほんとですか?」

「えぇ、あとはもう少し気持ちも軽やかに弾くことね。」

「まだ精一杯って感じですよね。」

「悪いことじゃないわ、まだまだこれからよ。」

よし、頑張ろう。

私の背中を押してくれる、優しくも力強い先生の言葉だった。
< 9 / 10 >

この作品をシェア

pagetop