オタクですけど、何か?~友情編~
だとしたら、それはかなり恥ずべき行為です。
そんな行為が出来るなんて不可解過ぎてなりません。気分悪くてヘドが出そうです。
所詮、弱者をいたぶる事しか出来ない小さな人間が何を粋がっているのでしょうか。
こんな連中に構うのもバカらしく思えてきて雑誌を机の中に仕舞う。
その途中で、赤髪の安達に胸ぐらを掴み上げられた。
「シカトすんじゃねぇよ!訳わかんねぇTシャツ着やがって…っ!!
てめぇマジできめぇんだよ…!」
訳わかんねぇ?
訳わかんねぇ、だと?
今大好きな朱美のTシャツを訳わかんねぇだとかぬかしやがりましたか?
訳分からないのはそっちだろう?
これは朱美の誕生日に数量限定で販売されたプレミアムTシャツで、観賞用とコレクション用、そして、私生活用と死ぬ思いで手に入れた大切なTシャツ。
お気に入りのTシャツをそんな風に言われたせいで血液が逆流する。
ギロリとトリプルAを睨み付け、言葉を吐き出す。
「だから?」
「…あぁ!?」
「"キモい"。…はい、そうですか。だから?」
「あ?」
「キモいですけど、何か?」
そんな事当の昔から知っています。
それなのに今更何ですか?
気持ち悪いからなんだって言うんです?
気持ち悪くて当然ですよとしらっと言葉を返してきた僕に赤髪の彼はぐうの音も出ないでいた。
教室中にこのしらけきった空気が流れた時、
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り響き、
「おーう、席つけー授業始めるぞー」
先生が入ってきた。
ガタガタとクラスメイト達は若干の気まずさのある雰囲気の中、各自の席へ座り教科書等を机から探し始める。不機嫌そうにこちらを見下ろす赤髪Aと目があった。
「チッ」
し、しし、ししししし、
舌打ちしたいのはこっちなんですけど!!
トリプルAは舌打ちと後味の悪い空気を残して自分達の席へと戻って行った。