真 実

春樹が帰宅すると里から
「椿様は、今お休みになられました。」
と、報告を受け
「ありがとう、里。
遅くまですまなかった。
気をつけて帰ってくれ」
と、言うと
里は、ニコニコしながら
頭を下げて帰っていった。

春樹は、椿の寝顔を見てから
簡単にシャワーを浴び
椿の寝ている部屋のドアを開け
里が作った料理を食べてから
椿の寝ている横に滑り込み
椿を抱き締めて
「椿、ただいま。
そして、お休み。」
と、いって椿のおでこと頬に
キスをしてから
目を閉じた。
いささか、疲れたようだ。

椿は、目を覚ますと
春樹の胸の中でホッとした。

なぜ、こんなに春樹でないと
駄目なのか、わからないが
春樹が入れば、何も怖いものはなかった。

椿が春樹の胸に頭をつけると
春樹は、椿に回していた
腕に力を入れて抱きしめ
「おはよう、椿。」
「おはよう、春樹。
起こして、ごめんなさい。」
「問題ない。体調はどうだ。」
「大丈夫、心配かけてごめんなさい。」
「なぜ、謝る?
椿は、喪主として
きちんと対応していた。
大悟さんもかなえさんも
喜んでいるよ。」
と、春樹が言うと
椿は、涙を瞳にいっぱいためて
春樹の首に腕を回して
抱きついた。

そんな椿を春樹は
抱き寄せてギュっと抱きしめた。
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