君が見ているその先は
「あっつい!」
季節は夏。むせかえるような暑さに今にも死にそうな声で訴えているのは凪(Nagi)。
私の高校からの友達。
足を開いて下敷きで仰ぐ姿はまさにおっさんそのものだ。
教室なのになんで暑いのか、その理由は単純。私たちの教室、2-4教室のクーラーが故障しているからだ。
「本当にね、暑すぎる。でも明日にはクーラー直るんだよね。」
相槌を打ちながら私も我慢できずに下敷きで仰ぐ。
「いや、明日とか本当待てないから!授業なんて集中できない!」
まるで外国人のように身振り手振りで暑さを表現する凪。その動きが可笑しくてついつい笑いが漏れる。
「暑いのもそうだけど凪の動きがうるっさくてさらに暑くなるんだけど。ちょっとは静かにできねーの、お前。」
ニヤニヤしながら凪に話しかけるのは俊介(Syunsuke)。
二人は幼馴染で憎まれ口たたき合うくらいには仲がいい。
「はあああ?なんであんたにそんなこと言われないといけないのさー。俊介はいちいちあたしたちの会話に入ってこないでよね。今は詩乃と話してるんだからさ。」
少しうざったそうな顔で凪が反論する。でも凪の顔がちょっと赤くなってるのは、まぁ、そうゆうことだ。
「んなっ!可愛くないぞ「俊介ーーーー!!」んー!?なにー!?」
凪に言い返そうとした俊介がクラスの男子に呼ばれた。うーん。俊介もなかなかにうるさいよね。
「呼ばれてっぞ!海斗に!」
「ああ、海斗?どうしたん?俺に用とか珍しいじゃん!」
そう言って俊介は呼ばれた相手のもとに向かった。
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