死者の舞踏〜最期のメッセージ〜
四十分ほど車を走らせ、二人は公演が行われる文化会館へとやって来た。多くの人がバレエ公演を観に来ている。

「……女性が多いな……」

そう呟く如月刑事に、藍がパンフレットを見ながら言った。

「女性に人気のバレエダンサーが踊るみたいだわ。この人よ」

藍は如月刑事にパンフレットを見せる。パンフレットには豪華な衣装を着た顔立ちの整った男性が踊っている写真が載せられていた。名前は大塚哲也（おおづかてつや）と書かれている。

「藍はこの男のファンなのか？」

「私はバレエを見ることが初めてよ。どんな人が踊るのかなんて知らないわ。バレエのこともあまり詳しくはないし……」

「なら、俺が教えましょうか？」

藍と如月刑事の間に、突然一人の男性が割り込む。藍は驚き、如月刑事は嫌悪感を浮かべた。

「藍さん、如月刑事、こんばんは！こんなところで会うなんて偶然ですね〜」

そう言い笑ったのは、大河だった。

「大河くん、どうしてここに？」

驚く藍に大河はチケットをジーンズのポケットから取り出して二人に見せる。
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