番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を




 静かな部屋に、花霞でも蛍でもない第三者の声が響いた。けれど、その言葉を意味を理解する頃には言葉通り遅かった。

 蛍は首元を掴まれ、投げ飛ばされる。蛍は低い悲鳴を上げながらも、体を起こそうとしたけれど、頭と肩を地面に押し付けられ、体はその声の主に乗られてしまい動くことが出来なかった。


 「河崎蛍(かわさき けい)、だな?」
 「………くそっ!!おまえは………」
 「………りょ、椋さん………」


 花霞は暗闇の中、蛍を抑えつけている男を見て声を挙げた。そこには、椋の姿があった。
 青いシャツにズボンという警察の制服を着ており、椋はすぐに手錠を蛍の腕にかけた。それでも逃げ出す心配をしたのか蛍をずるずると引っ張り窓枠と手錠を太いロープで結んだ。


 「花霞ちゃん………ごめん。遅くなったね………」

 
 そういうと、花霞にソファにあった大判の毛布をかけた。ふわりと掛けられるとき、何故が花の香りを花霞は感じた。


 「おまえ………鑑椋だなっ!?檜山を殺せなかった出来損ないがっ!何で俺の邪魔ばかりすんだ!!」


 腕を吊るされた状態の蛍は、ガチャガチャと手錠を揺らして暴れていた。けれど、それが外れることはない。


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