番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
21話「笑顔の正体」
21話「笑顔の正体」
檜山という男は組織内でも恐れられている存在だった。
幹部という事もあり、力は絶大。仕事も出来、決断力もある男だ。
だが、気分屋でもあり、感情の起伏が激しかった。自分の思い通りにならない者や、失敗をした者、気にくわない者は全て処分する。
それが檜山という男の考えだった。
そんな檜山から蛍のスマホに電話がかかってきた。
組織に入ったばかりの頃に会ってから、1.2回ぐらいしか会話をしていない。
どうして自分に連絡が来るのかわからないまま蛍は通話ボタンを押した。
「はい。蛍です」
『檜山だ。久しぶりだな、元気にしてたか?』
「はい。お陰さまで」
『おまえの仕事の話しはよく耳にする。助かっている』
「いえ………ありがとうございます」
言葉優しいものだったが、口調は固かった。
蛍の仕事をただ褒めるだけで電話をしてきたのではないのだと、蛍は察知し緊張してしまう。
それを檜山も感じたのか、『悪いが、おまえに頼みがある』と話しを切り出してきた。