番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
蛍はすぐに立ち上がり、スマホをPCに繋げた。蛍のスマホがどこにあるのかを探すと、まだこの街の中にいるのがわかった。
そのデータをスマホにうつし、蛍は事務所を飛び出した。
「ハルトさん………勝手に俺の事決めんなよっ。おまえが自分で連れ出してくれよっ!!言ってたじゃないかよっ!!」
蛍は、涙を手で拭き、そう叫びながら夜道を走った。夜中の静かな街を、蛍は足音を響かせて走った。
スマホを見ながら、彼を追う。ハルトはとてもゆっくりと移動していた。歩き逃げているのだろう。これなら、少し走ればハルトに追い付く。
そう思って必死に走った。
人のために走ることなどなかった。
助けたい人なんているはずもなかった。
組織の裏切り者。警察からのスパイ。表世界で生きる男。
そんな人を助けてどうなるのか。
もし見つかったならば、組織には殺されてしまうだろうし、警察に見つかれば逮捕されるだろう。
けれど、友達を助けたい。ハルトと一緒に居たい。
そう願ってしまうのだ。