番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
しばらく走ると、繁華街に出た。夜中とあって人もまばらだがまだ歩く人々の姿があった。
必死に走る蛍を怪訝そうに見ている。
そして、少し先に人々が避けながらも、ジロジロと見ている場所があった。
「あれ……大丈夫?」「病気?」「薬とかじゃないの?」と、口々に話しをしているのがわかった。
少し先に細い体で、ふらふらと倒れそうになりながら歩く人の姿が見えた。
「ハ、ハルトさん…………よかった………」
檜山の元から逃げ出してきたのだろうか。
ボロボロの服装のハルトを見つけることが出来た。これで、彼を助けられる。
そう思った。
けれど、蛍が走る道路を物凄いスピードを出して走る車が通りすぎた。黒く光る豪華な高級車だった。
蛍の体にその車から風がふってきた。
その車は見たことがあるものだった。
組織の幹部が乗る車。檜山の物だった。
蛍は、それを見た瞬間フラフラになっていた体に鞭売って必死に走った。
手を伸ばして、少しでも早くハルトの体を掴みたかった。