番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
目を大きく見開いて驚きを隠せない様子の蛍に、花霞はゆっくりと話しかける。
すると、蛍は考え込むようにジッと花霞を見つめた。
そして、瞳に涙を浮かべながら首を横に振った。
「………もう戻りたくない。約束したんだ、遥斗さんと明るい世界で生きるって………だから、本当はもうこんなところに居たくないんだ………」
「そっか………。話してくれて、ありがとう。蛍くん」
花霞は蛍に近づき、頭を優しく撫でた。
すると、今まで我慢していたのであろう大粒の涙がこぼれ落ちた。蛍の強張った体から力が抜け、ぐったりとしながらただ子どものように声を上げて泣き続けた。
それを花霞はそれをずっと見守り、頭を撫で続けてた。
蛍を乗せて、椋の車に乗った。
蛍はあれからとても静かだった。窓から見る景色をただずっと眺めてた。
しばらく、この街並みを見ることが出来ないと感じているようだった。