番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
椋の切ない声を聞き、花霞は身が震えた。
その言葉を、花霞は求めていたのかもしれない。花霞はそう思った。
自分だけが彼を求め、彼は夢に夢中でそんな事は気にしていないのではないか。そんな事を考えては切なくなってしまっていた。
「もう少し時間を作って君に触れるべきだった」
そう言うと椋は、花霞の体をゆっくりと抱きしめた。花霞が求めていた温かで甘い彼の体。それを感じ、花霞は一気に幸せを感じる。先程までの冷たかった気持ちが、彼のぬくもりを感じて安心してしまう。
「花霞ちゃん………体が冷たい」
「あ……クーラーで少し寒くなっちゃったかな………」
「じゃあ、温めなきゃね?」
「………ん………」
花霞の顎に触れ、少し下に引くと椋はそのまま深いキスを落とした。
花霞の声がもれる。久しぶりの感触に花霞の背中はゾクッとした。
「………あの………ごはんは…………?」
「花霞ちゃんを食べたいかな。………って、これはベタすぎるか………」
キスとキスの間に、花霞がそう言うと椋はニヤリと笑みを浮かべながら、そんな甘い言葉を言った。
花霞は「食べて欲しかった……」などと言えるはずもなく、恥ずかしそうに椋を見つめていると、椋は受け入れてくれたと判断したのか、また本当に食べてしまうかのような深い深いキスをした。
その夜は今まで触れられなかった分を取り戻すかのように、彼との戯れは朝方まで続いたのだった。