番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
「うん、一緒だよ。………どこかに出掛けてもいいし、家で過ごしてもいいよ。………後でゆっくり考えよう」
「うんっ!」
花霞が微笑みながら彼を見上げながら返事をする。時間は短く限られているけれど、今日は彼を独占できるのが幸せで仕方がなかった。
「シャワー浴びてくるだろ?シーツは俺が洗濯しておくから、行っておいで。朝食も作っておくよ」
「ありがとう、椋さん」
「………少し声が枯れてるね………まぁ、それも昨日を思い出してしまってエッチな感じだけど」
「もうっ………椋さんっ!!」
椋のからかいに怒りながらも、2人穏やかな朝に幸せを感じたのだった。
そして、シャワーを浴びてダイニングに行くと、すでに朝食がテーブルに並べられていた。
甘いパンとスープの温かな香りが漂ってきた。
「おいしいそう…………」
「あぁ、花霞ちゃん、おかえり。今日は一緒の朝食だから温かいものを食べてもらえるとおもってフレンチトーストにしてみたよ」
「嬉しい!」
「そっか、よかったよ」
花霞と椋は、さっそく向かい合って座り、手を合わせて「いただきます」と挨拶をしてから、食事をした。
ハチミツの甘さともっちりとした食感のパンが、とても美味しくて、花霞は笑みを浮かべてしまう。そんな花霞の表情を見て、椋はニッコリと微笑んだ。
「それで、どこか行きたい所とかあるかな?今からだから、そんなに遠くには行けないけど」
もう、昼前の時間帯。
朝食というよりはブランチになってしまった。椋の質問に、花霞は少し考えた後に、口を開いた。
シャワーを浴びながら考えていた事があったのだ。
そこに行くのは良いことなのか。折角のデートなのに、行くのはよくないのではないか。
そんな風に思いながらも、花霞はどうしてもそこにいきたいと強く思ったのだ。
「…………私、ラベンダー畑に行きたいです」
花霞は、まっすぐと椋を見つめながら、そう強く口にしたのだった。