番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
4話「あなたを待っています」
4話「あなたを待っています」
「ラベンダー畑に行きたい」
その言葉を発した瞬間、椋の表情が固まった。一瞬だったけれど、彼が動揺したのがわかった。
「………花霞ちゃん、それはどうして?」
「見ておかなきゃいけないなって思ったの。それに、ラベンダーにお礼も言わなきゃいけないなって思って。私を椋さんの元へ導いてくれたから」
「…………」
椋は無言のまま視線を下にずらした。
彼は何を考えているのか、花霞は何となくだけれど、わかったような気がしていた。
自分が復讐を成し遂げようとした場所であり、花霞が撃たれた場所。
椋にとっては自分の間違いを思い出させてしまう場所なのかもしれない。
だからこそ、目を背けたくなる。それは誰もがそう感じてしまう事だと思う。
けど、花霞は彼とその場所に行きたいのだ。
しばらく考えた後、椋は顔を強ばらせたまま「わかったよ」と返事をした。
「花霞ちゃんが行きたい所に行こう。」
「………ありがとう、椋さん。」
その返事の後の朝食は、カチャカチャという食器の音がとても大きく聞こえるほど、静かな食卓となったのだった。