番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
7話「一時の穏やかな時間」
7話「一時の穏やかな時間」
「なんだよ。これ…………」
このメールを送ってきたのが遥斗ではないのはわかっている。あいつはもういないのだ。
もし生きていてくれて、椋にこのメールを送ったのだとしたらどんなにいい事か。
だか、こんなメールを遥斗が送らないというのも椋にはわかっている。
それなのに、何故か動揺してしまうのだ。
遥斗が死んだ後に、そんな風に思っているのではないか。
そう考えたことが何度もあったからだ。
それを文字にされると、やはり胸にグサリとささるものがある。
あんなにも辛い状態で死んでいったのだ。遥斗が自分を恨んでも仕方がない。そんな風に思ってしまう。
「………誰かわからないが、いい趣味をしてるな」
椋は、そのメールをもう1度見てからスマホを閉じた。
そのメールを削除する事は出来なかった。