番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
デスクに戻りながら、椋は深く呼吸をして少しずつ冷静を取り戻していった。
まず、考えなければいけないのは、誰がこんな悪質ないたずらをしているのかだ。
まず、遥斗のスマホは彼が亡くなった時に見たが車に何度も踏まれてしまいボロボロになっていた。原型もないぐらいにガラスは割れ、本体も凹んでおり、部品が至るところに飛び散っていた。
そのため、調査が終わったあとは遥斗の実家に返されたはずだった。もし、そのスマホが盗まれたとしても、とてもじゃないがメールを打てるはずもない。
そうなると、彼のメールアドレスを奪ったやつがいるのだ。そして、それは簡単に出来ることではないはずなので、PCの知識がある人物がやっていると思われる。
檜山がいた組織でも、そういう仕事をしている者達がいたのも、椋が潜入捜査をしていたため知っていた。
遥斗を知っており、わざわざ椋にメールを送ってくるとなると、ドラッグの闇組織が関わっているのは明白だった。
「またやっかいな事にならないといいけどな」
誰かが自分を目につけている。
それがわかっただけでも大きな収穫だった。
これから注意しなければいけない。そう心に強く思い、椋はまた仕事に戻った。