番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
椋は花霞の頭をポンポンと撫でると、彼女が顔を上げた。その表情はとても心配そうなものだった。
椋は彼女を安心させるために、ニッコリと微笑んだ。
「ごめん、心配させて。………でも、そんな些細な変化に気づいて貰えて嬉しいよ」
「じゃあ、やっぱり何かあったの?」
「まぁ、俺が配属された先が前と同じ部署だならな。それに、檜山達がいた組織はなくなったわけではないから。何となく昔の事を思い出したりしてたんだよ」
「………そっか」
花霞はまた、顔を伏せて椋の腕に顔を寄せた。自分の代わりに彼女が悲しんでくれているように見える。そんな花霞の姿がとても愛しくて、椋は彼女の頭をソッと撫でた。
「無理しないでね?」
「あぁ。ありがとう。………ほら、ラベンダーティーが飲み頃だ」
「………うん」
花霞にそう言い、彼女がお気に入りだというトルコ食器のブルーのガラス容器を取り一口紅茶を飲んだ。
ラベンダーの香りが体の中を巡るようで、椋はふーっとリラックスして息を吐く。
きっと大丈夫だろう。何があったとしても、花霞は自分が守るのだから。と、思った。
けれど、その時に椋のスマホが新しいメールが届き、受信を知らせるライトが点滅しているのを椋は知らなかった。