番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
8話「鈍感は時に罪」





   8話「鈍感は時に罪」




   ☆☆☆



 椋が何故思い詰めた表情をして帰宅したのか。
 花霞にはわからなかった。
 仕事をしていれば、悔しいことも悲しいこともあるのはわかっている。
 けれど、その日の椋は今までで見たことがないような深刻な表情をしており彼にとって重大な事があったのだと花霞は気づいた。
 まるで、椋が秘密を持っていた時のようだな、と思ってしまう。


 彼に聞こうか迷ったけれど、椋の力になれたらと、思いきって話を切り出してみた。けれど、やはり椋は話してはくれない。
 心配をかけたくない。そう思ってしまう気持ちがあるのは花霞も同じだからよくわかる。
 けれど、頼ってもらえないのは寂しいものだ。
 きっと彼は何かと戦っているのだ。自分で何とかしようとしている。

 それを見守るのも大切だ。
 そう自分に言い聞かせて、しばらくは椋を見守ろうと花霞は決めたのだった。



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