番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
9話「甘いキスと偶然の出会い」
9話「甘いキスと偶然の出会い」
「ごめんね………今日突然出勤になって」
玄関のドアを開ける前に、椋は再度花霞に謝った。
昨日が夜勤明けだった椋は、今日は休みのはずだった。そのため、花霞も休みを合わせて取っていたのだが、椋に職場からの緊急招集があり、朝から出勤しなければならなくなったのだ。
警察に勤めると決めた時から、椋には「休みがない時もある」と聞かされていたので、花霞は理解しているつもりだった。
「大丈夫だよ。気にしないで」
「今日はゆっくり過ごしてね」
「ありがとう。椋さん、気を付けてね。無理だけはしないで」
「うん、わかってるよ。いってきます」
椋はいってきますのキスをするために、花霞を抱き寄せた。いつもよりも強引だと感じながらも、花霞は気にせずに目を閉じて彼の唇の感触を待っていた。
すると、ほんのりとミントの香りがする唇を感じた。今日はこう言ったキスを何度されるのだろうか。そう期待しなかったといえば嘘になる。
だが、彼の夢である警察官に戻れたのだ。
そんな仕事のためとなれば、花霞は我慢するしかない。
花霞は短いキスを堪能しようと、彼の感触を最後まで味わおうと思った。しかし、その思いはすぐに裏切られてしまう。
もちろん、良い意味で、だ。