番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
「蛍くんね、あそこのパン、おいしいって言ってくれたよ!それと………ぁ………」
椋が花霞の肩を突然掴み、そのまま強い力で引き寄せられた。
あっという間に花霞の体は、椋に包まれてしまう。いつもより強く抱きしめられて、花霞は戸惑ってしまう。
「りょ、椋さん………どうしたの?」
「………花霞ちゃんの口から他の男の名前ばっかり出てきてるよ」
「え………」
「仕事をしていれば、異性と話すことなんて当たり前だし避けられないとも思うけど………休みの日に2人きりでランチなんて………心配になる」
椋の少し拗ねた声が耳に入り、花霞は苦笑してしまう。申し訳ないと思いながら、そんな風に思ってくれた椋に対して嬉しいなと感じてしまったからだ。
「ごめんなさい。……でも、蛍くんはそんな心配は………」
「また名前言った」
「あ………ごめんなさい………」
「そんな男の名前ばっかり呼ばないで」
椋は、花霞の唇に触れた後に、言葉ごと食べてしまうかのように口を開いてキスをされた。
その言葉はもう言わせない、という意味なのだろう。
花霞は、そのキスに応えて自分から腕を彼の首に絡めて抱きしめた。