番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
15話「それぞれの思惑」
15話「それぞれの思惑」
蛍の笑顔は一瞬だった。
すぐに車の男に鋭い視線を向けた。
「この餓鬼っ!調子に乗ってかっこつけてんじゃねーよ」
「…………今、俺のスマホは警察に電話が繋がってる。早く逃げないと捕まるぞ」
「なっ………!くそっ!」
黒マスクの男はバンッと車のドアを閉めると、勢いよく車を急発進させてあっという間にどこかへ走り去ってしまった。
「花霞さん、大丈夫ですか?どこか怪我とか………」
花霞は彼が花霞の肩を引き寄せ、そして心配そうに顔を覗き込んだ時。花霞はハッとして、彼の体を押していた。
「やめてっ!」
「………え………」
花霞のそんな事をされると思っていなかったのだろう。蛍は驚き、切ない表情で花霞を見ていた。
花霞は動揺し、体が小刻みに震えていた。
「ご、ごめんなさい………。蛍くん……私………」
「いえ………俺がつい触れてしまったので………驚かせてしまいましたよね」
「………助けてくれたのに………ごめんなさい」
「花霞さん………落ち着きましょう。俺がいます………さっきの警察の話は嘘ですけど、不安なら本当に電話します」
「……………」