番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
「椋さん、何かあった?」
「え………。いや……仕事のメールだったよ」
「何か悪いこと、あったんだね?」
「そんな事は………」
「…………椋さんがしてる事。何かわからないけど、辛そうにしてるの、私にはわかるよ」
「…………」
花霞が椋の仕事に口出ししてしまうのはめずらしい事だった。だが、それぐらいに心配しているし、彼の様子がおかしいのだとわかって欲しかった。
椋は無理している。
そして、花霞の誘拐未遂についての詳しいことを何か隠している。
それぐらい花霞にもわかっていた。
「………ごめん。君に話すべきか迷っていた事がある」
そう言って、椋は自分のスマホを花霞に渡した。花霞は、「ありがとう」と言って受け取り、彼が見せてくれた画面を見た。
すると、そこには驚くべきものが表示されていた。
メールの受信フォルダには、いくつも「遥斗」の名前が並んでいたのだ。
「これって………昔のもの、じゃないよね?」
「あぁ少し前から届くようになった………どういう事なの?」
「遥斗のメールアドレスを不正に入手し、そのアドレスを使って俺にメールを送ってきているんだ」
「そんな事…………」
椋は花霞が持っている彼のスマホ操作して、1つのメールを開いた。
そこには、『何で助けてくれなかったんですか 先輩』という、信じられない内容が送られてきていた。