番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を



 「椋さん、何かあった?」
 「え………。いや……仕事のメールだったよ」
 「何か悪いこと、あったんだね?」
 「そんな事は………」
 「…………椋さんがしてる事。何かわからないけど、辛そうにしてるの、私にはわかるよ」
 「…………」



 花霞が椋の仕事に口出ししてしまうのはめずらしい事だった。だが、それぐらいに心配しているし、彼の様子がおかしいのだとわかって欲しかった。
 椋は無理している。
 そして、花霞の誘拐未遂についての詳しいことを何か隠している。

 それぐらい花霞にもわかっていた。


 「………ごめん。君に話すべきか迷っていた事がある」


 そう言って、椋は自分のスマホを花霞に渡した。花霞は、「ありがとう」と言って受け取り、彼が見せてくれた画面を見た。

 すると、そこには驚くべきものが表示されていた。

 メールの受信フォルダには、いくつも「遥斗」の名前が並んでいたのだ。


 「これって………昔のもの、じゃないよね?」
 「あぁ少し前から届くようになった………どういう事なの?」
 「遥斗のメールアドレスを不正に入手し、そのアドレスを使って俺にメールを送ってきているんだ」
 「そんな事…………」
 

 椋は花霞が持っている彼のスマホ操作して、1つのメールを開いた。
 そこには、『何で助けてくれなかったんですか 先輩』という、信じられない内容が送られてきていた。



< 92 / 152 >

この作品をシェア

pagetop