番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を



 「これは1番始めに送られてきたものだ。それからも、毎日のように送られてきたよ。」
 「でも、これは………遥斗さんが送ったものではないわ………」
 「あぁ、それは俺ももちろんわかっている。だから、無視していた。誰かが遥斗の名前を使って俺に面白半分にいたずらでもしているのだと思ったんだ。けれど、違ったよ。今の部下の誠が爆発により怪我をしたんだ。その後、送られてきたメールには「先輩が一緒に死んでくれないなら、先輩が大切なモノを貰います」というのが届いた。それから、誠が怪我をした事とこのメールは同じ事が原因なんじゃないかって考えたんだ。………全て俺への執着があるからな」
 「…………そんな………こんなメール酷い。遥斗さんはそんな事絶対にしないのに」
 「あぁ。遥斗の名前を使ってこんなメールを送ってくる事自体、吐き気がするほどに怒りを感じるよ。それに誠の事、そして花霞ちゃんが狙われている事もある。何がなんでも犯人を調べているよ。………でも」
 
 そう言って、椋がつい先ほど届いたメールをタップした。もちろん、遥斗の名前を語った偽物からのメールだ。そこにはこう書かれていた。


 『復讐は復讐を呼ぶ。この復讐はあなたから受け取ったものです』


 それはもう、遥斗を語ったものではなかった。椋にメールを送り続け、誠を傷つけ、そして花霞を襲った犯人からの、椋へのメッセージだった。

 椋は花霞からスマホを受け取り、そのメッセージをじっと見つめた。



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