番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
☆☆☆
穏やかな時間が流れる。
花屋はもちろん忙しいし、いつも動き回っている。けれど、フッとした瞬間、視線に花があると安心する。
花霞は、いつもより緊張した面持ちになってしまう。
何となく、今日何かが起こるのではないか。そう感じていた。女の勘、というものだろうか。そんな風に思いながらも、その時を待つしか花霞には出来なかった。
大きな注文もなく、花の注文をしたり、ブーケを作ったり、店内を清掃して過ごした。1週間の中でも客足が少ない曜日のため、慌ただしすぎる事もなかった。
その日の遅番は花霞だけだった。
残り数十分のみは店内で花霞は1人になる。
少しずつ閉店準備をしながら仕事をしている時だった。
店に来客があった。視線を送ると、そこには久しぶりに見る彼の姿があった。
いつものように綺麗に髪をセットしており、ニコニコと穏やかに微笑んでいた。
「花霞さん。こんばんは」
「蛍くん。………ずっと会ってなかったから心配したんだよ」
「すみません………いろいろと忙しくて」
「ううん。元気だったらいいの。………前は、助けてくれて、ありがとう。本当に助かったわ」
「いえ。花霞さんが何ともなくてよかったです。………今日もブーケを作ってもらってもいいですか?」
「えぇ、もちろん」