番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
花霞はそう言うと蛍からどんな花がいいのかを聞く。けれど彼は「今日は花霞さんが自由に作って欲しいです。花霞さんが好きなものを………」と言った。
花霞は頷いて、「かしこまりました。ちょっと待っててね」と返事をして、店内の花の中から花を選んでいく。
「この花………」
「蛍くんも知ってるよね。ラベンダーの花。私、このお花が大切なの。………それに、助けてもらった事もあって。だから、大好きな花は?って聞かれると、自然と「ラベンダー」って言っちゃうの」
「………そうですか。………俺は、本当は嫌いです。嫌なことを思い出す」
「……そうなんだ」
花霞が持っていたラベンダーを元の位置に戻そうとすると、「花霞さんが好きなのを作って欲しいからそのままで」と言ってくれたので、花霞はそのまま想像していたブーケを作っていく事にした。
今日の蛍は口数が少ないな、と思ってちらりと彼を見ると、蛍は花霞の事を見つめていた。
とても悲しそうな瞳で。
花霞と目が合った瞬間にそれはすぐに笑顔に変わってしまったけれど、花霞はしっかりと見てしまった。
「………おまたせしました。ブーケ、出来上がりました。」
「ありがとうございます。今回もやっぱり色合いが綺麗ですね。………花霞さんは、すごいな」
「そんな事ないですよ。まだまだです。」
「お代は………」
「今回は私からプレゼントです。前に助けてくれたお礼なので」
「…………そう、ですか。じゃあ、ありがたく頂きます。花霞さんからのプレゼント、嬉しくので」
そう言って、花霞から蛍は花を受け取った。
けれど、蛍はその場から去ろうとせずに、花霞を見つめていた。