若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
「はあ。でも、友人という立場でもありませんし」

「あ、言っていませんでしたっけ。あなたはあくまでも私のパートナーとして来て頂いているんですけどね」
「え? なんですか、それ」

一体どこまでが本当なのか。クスクス笑う矢神を睨んでいると、ふと母屋から出てきたカップルが目に留まった。

――あっ。

月井夕翔と向葵である。

彼は彼女の腰を抱くようにして、ふたりは楽しそうに話をしている。どこに行くのか、佳織たちがいる方とは逆のほうへ向かうようだ。

彼らに気付いた矢神が「あ、工場を見に行くのかな」と何でもない事のように言う。

「――あのふたり」

絶句している佳織に向かって、矢神はにっこりと目を細めた。

「大事な妹が処女喪失とか言って、暴れないでくださいよ、お姉さん」
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