若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
「鈴木さんはいないのか?」
鈴木とは洸の秘書だ。
彼が洸の秘書になってからというもの、この部屋を訪れると洸の隣にはいつも彼が座っている。
その指定席にいるべき人がいないせいか、ぽっかりと空白ができているようだ。いずれにしろその彼もまた、夕翔の友人でもある。
「彼は有給休暇」
「へえ。あの人も休むんだ。てっきり三六五日出勤しているかと思った」
「うん。僕もね、そうしてほしいんだけど、死なれちゃ困るしね」
冗談とも本気ともわからない会話を淡々と続けながら、夕翔もコーヒーを口にする。
「どう?」
「うん。香りはいいね」
「あ、そ」
今から一時間前。
夕翔は思いついたように洸に電話かけて『忙しい?』と聞いた。
共に資産家の御曹司であると同時に次世代を担う企業戦士だ。夕翔も忙しいがもちろんこの友人も暇などあるはずはない。
それでもこの友達思いの友人は、急な誘いに忙しいと即答することはなく、
『――いや、別に』と答えた。
『ちょうど新しいコーヒー豆が手に入ったんだ。飲みにおいでよ』と。
鈴木とは洸の秘書だ。
彼が洸の秘書になってからというもの、この部屋を訪れると洸の隣にはいつも彼が座っている。
その指定席にいるべき人がいないせいか、ぽっかりと空白ができているようだ。いずれにしろその彼もまた、夕翔の友人でもある。
「彼は有給休暇」
「へえ。あの人も休むんだ。てっきり三六五日出勤しているかと思った」
「うん。僕もね、そうしてほしいんだけど、死なれちゃ困るしね」
冗談とも本気ともわからない会話を淡々と続けながら、夕翔もコーヒーを口にする。
「どう?」
「うん。香りはいいね」
「あ、そ」
今から一時間前。
夕翔は思いついたように洸に電話かけて『忙しい?』と聞いた。
共に資産家の御曹司であると同時に次世代を担う企業戦士だ。夕翔も忙しいがもちろんこの友人も暇などあるはずはない。
それでもこの友達思いの友人は、急な誘いに忙しいと即答することはなく、
『――いや、別に』と答えた。
『ちょうど新しいコーヒー豆が手に入ったんだ。飲みにおいでよ』と。